愉快なガイドと一緒に
オーストラリアにはキュートな動物たちが棲んでいる。カンガルーやコアラ、ウォンバットなどがよく知られているが、他にも日本ではなかなかお目にかかれない動物たちがいる。そんな動物たちの多くが夜行性なのだ。その動物を探しに行くツアーも各種揃っているので、午後はそんなツアーに参加してみた。
この日のガイドはマイケルさん。日本語を上手に操るオーストラリア人の彼の話は非情に面白い。道中、飽きることがない。面白おかしく、ガイドを務めてくれた。
まず最初に訪れたのは巨大アリ塚。砂と土とアリの唾液で形成されたアリの巣。人間の身長くらいの高さがある。結構あちこちで丸々と膨れたアリ塚を見ることができる。そして、何と、このアリ塚にいるアリは、食べ放題となっているのだ。しかも無料。ドライバーのウィリーさんがみんなに一匹ずつ捕まえてくれた。嫌がる女性もいたが、好奇心旺盛な私はもちろんパク。プチッとした食感を感じはしたものの、味はしなかった。日本でよく見かけるアリよりはるかに小さい白アリなので、たくさん食べない限り味はしないのかも。
オーストラリアらしい動物探し
次に向かったのは御影石が連なる一角。そこにロックワラビーという種類のカンガルーの一種であるワラビーが生息している。餌付けが可能で、このツアーのメインの一つでもある。
掌にエサを乗せ、ロックワラビーに向けて差し出すと、近寄って来て、エサを食べ始める。お腹の空いていないロックワラビーは無視するが、ほとんどのロックワラビーは食べてくれる。そのかわいらしいこと。爪は伸びているので、摑まれると痛いのだが、愛くるしい目に痛さも忘れる。一匹連れて帰りたい。
この場からの帰り道、ガイドのマイケルさんが、バスを急停止させ、突然走り出した。何、何、何?と思っていたところへ、帰って来たマイケルさん。手にはエリマキトカゲをぶら下げていた。ひょへ~!
驚きのあまり、
ピントがエリマキトカゲではなく、マイケルさんに合ってしまった。興奮して空中で騒ぎまくるエリマキトカゲ。一時期大ブームを巻き起こしたが、今はパッタリ。でも、こんなに間近で見られるなんて!観察後は、木に返却。元気でね。
雄大な草原地帯やサトウキビ畑の中をバスは行く。途中、黒オウムや白オウムの群れ、笑いカワセミなどの野鳥をバス車内から観察。ある有名ファーストフードショップ所有の牧場を左右に眺めながら、バスは次の目的地へ向けてひた走る。
太陽が西に姿を隠そうとするころ、カーテンフィグツリーと名前の付いた、植物界の殺し屋の異名を持つイチジクの樹を観賞。人の背丈の3倍以上はあろうかという大樹。一本の樹が倒れ、その倒れ掛かられた樹ごと成長したという代物で、観光名所になっている。植物は人間より寿命が長いことをつくづくと考えさせられた。
次に、夕食場所至近の河原で、オーストラリアきっての珍獣と言われるカモノハシ探し。カモノハシは物音に敏感で、足音を立てるだけでも姿を隠してしまうと言われ、ガイドさんからは話し声・物音はさせないようにと注意を促され、みんなで河原へ。双眼鏡を覗きながら川岸を目を皿のようにして探すもなかなか現れない珍獣。ガイドさんが見つけた時には、何かの物音でポチャン!という空しい音だけを残し、川底へと潜ってしまった。平たいくちばしが特徴的なカモノハシ。神経質で怖がりな動物のようだ。
夕食はオージービーフがメインのバーべキュー。日本ではバーベキューなんてしないけど、異国だとそれも楽しい。森の中だというシチュエーションも食欲が出る一因。
前菜のようにクロコダイル、カンガルーの焼肉がテーブルに。一人ずつ、鉄板上に焼き上がったビーフ、キチン、ソーセージをよそってもらい、各自サラダやパンをよそう。合理的。ここでも一期一会の方々と和気藹々とした楽しいひと時を楽しむことができた。赤・白ワインも手伝ってか、みんな口がフル稼働。おしゃべりに食事に、大忙し。
食事場所に、ポッサムという目のクリクリした小型動物たちが遊びに来てくれた。またそれがかわいいのなんの。上手に小さな両手を使ってエサを支えて食べる。食べ物がなくなると、キョロキョロして、木から木へ動き回る。動きもすばしっこい。人間に飛びついたり、引っかいたりすることはないので、かなり至近距離から観察できる。人に慣れている野生動物。いいのかな?

懐中電灯を持って、森の中探検。真っ暗な森の中は一人では怖い。みんなと一緒なら肝試しっぽくてワクワク・ドキドキ。
南十字星に願いを込めて
森からいきなり目の前が開けた。広場に出たのだ。真上には、零れ落ちてくるのではないかと思うほどのあまたの星々がきらめいていた。みんなの口から、「うわぁ!」という感嘆のつぶやきと息が一斉にこぼれた。
昨春、夫と波照間島で見ることが叶わなかった南十字星。ここではハッキリ4つの星、全てを目にすることができた。夫と一緒に見たかったのが本音。以前、「君と一緒に南十字星が見たい」と夫が言っていたことがあったから。いつかどこかで叶うといいな。
25日は新月だったので、月が出ていなかった。そのせいもあって、余計星がたくさん見えたのだろう。人生で一番多くの星を見た夜だったのではないか。短く尾を引いた流れ星も見えた。オリオン座は日本で見るより大きい。オリオン座の中に位置する星々も見えた。天の川が、この上なくロマンチックにうっすらと白くたなびいている夜空。いつまでもいつまでも見ていたかった。
バスでの帰路、窓ガラス越しオリオン座と南十字星を確認できた。私の乗ったバスを追いかけてくるかのようについて来る。星座との追いかけっこも楽しい。今夜はいい夢が見られそう。
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