かりゆしぬ宴
沖縄民謡の世界へ
沖縄を一人旅していた時に出会った人は数知れず。札幌に住む一人の女性とも知り合いになった。
彼女は添乗員の仕事をしているそうだが、月一回ほどの割合で訪沖して、沖縄民謡を習っているということだった。既婚者なので、贅沢な身である。
その彼女から、沖縄民謡のライブの案内が送られて来た。東京で開催されるライブだ。彼女の師である大城美佐子さんが出演するという。
大城さんは沖縄民謡界のトップスターであり、数多くの映画にも出演されている方。那覇でたまたま入った民謡酒場が大城さんのお店であったことから、翌日本島ドライブに誘ってもらったことがあった。当時はそんな大物だとは露知らず、美ら海水族館や焼き物工場などに案内してもらった。
夫も興味を示し、ライブ『かりゆしぬ宴』へ申し込んだ。日時は5月17日(土)19時開演。そう、一ヶ月近く前の話。記事にしようと思いながら、ついついこんなに遅くなってしまった。書きたいことが多くて、追いつかない。
唄者勢ぞろい
出演者は大城美佐子さん、安里勇さん、具志堅京子さん、後冨底周二さん、川門正彦さん、寿、名護良一さん。石垣島から来られた唄者の方が多い。最南端の波照間島からの方もいらした。みな、実力の持ち主。
日本人の心に奥底に響く歌声。懐かしい三線(さんしん)の音色。灼熱の太陽の光が降り注ぐ沖縄の空気感がそこにはあった。
観客の多くは、何度も沖縄に足を運んだことのある沖縄フリークが多いように見受けられた。顔見知りの主演者が紹介されるたびに大きな拍手がわき、手拍子も慣れたもの。まるで、沖縄のどこかのホールで開催されているかのような雰囲気だ。
心地良い八重山民謡の調べが響く。民謡はほとんどがウチナー口(沖縄の言葉)なため、歌詞は全くと言っていいほど、わからない。曲名で想像するしかない。それでも人間の心、豊かな自然の本来の美しさを唄っているのだということが、ヒシヒシと伝わって来る。作者の思いが込められている珠玉の曲の数々。観客の心を、八重山の海の水が浸していく。
最後は、やはりカチャーシーでシメとなった。カチャーシーとは「かき混ぜる」という意味で、祝いごとの最後に行われる自由なスタイルで舞う踊り。お祝いでなくとも、沖縄の宴会の最後に老若男女、みんなで賑やかに踊るそうだ。
私も、今までに何度か、カチャーシーを踊らされる場に居合わせた。最初は恥ずかしくてできなかったが、勧められたり、周りにも初めて踊る人がいたことなどから、やらないことの方が恥ずかしく思えてきて、今では楽しんでできるようになった。手首と全身をクネクネさせる動きは、やり慣れていない者にとっては正直難しい。が、「正式な形といった形はない。好きなように体を動かせばいいんだよ」と教えてくれたおばぁの優しい一言に、テレの皮がむけた。
八重山の波の音をゆりかごにして、かりゆしの夜が更けていった。
| 固定リンク
| コメント (12)
| トラックバック (0)
最近のコメント