通勤電車内のひとコマ
出勤途中の電車内。片手に松葉杖をついた女性が乗ってきた。席を譲った。女性はお礼を言って、着席した。
しばらくして、目の前の席が空いた。その席に背を向けていた高齢の男性に空席を知らせようとしたら、別の方角から「座ってもいいですか?」と初老の女性から声をかけられた。「はい、どうぞ」と頷いた。
次の停車駅で、目の前に座っていた先ほどの初老の女性が、「私は次の駅で降りますから、席を替わりましょう」と声をかけてくれた。「私も次の駅で降りますから、大丈夫ですよ。ありがとうございます」と返事をした。そんなふうに言ってもらえるなんて、思ってもいなかったので、嬉しくなった。
初老の女性は、降りしなに、再度お礼の言葉を口にされた。松葉杖の女性も同じ駅で下車。彼女も再度お礼を述べてくれたので、「お大事に」と言って、別れた。見ず知らずの二人の女性と心を交えた会話をした気がした。
どこにでもある朝の何気ないひとコマ。電車で出勤するということから久しく遠ざかっていた私にしてみれば、何気ないひとコマではなく、心に温かい風が吹き抜けたような出来事であった。主婦は、家族以外に「ありがとう」と言ってもらえる回数は少ないのだ。
この日は、前日に急きょ出勤依頼があり、通勤電車に乗った。本来であれば、まだベッドの中にいる時刻であった。出勤を快く引き受けたことが巡り巡って、朝から気持ちよい出来事につながった気がした。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
こんばんは。
爽やかな話題をありがとうございます。
投稿: ぞう | 2010年6月21日 (月) 20時03分
いいお話ですね。
電車で通勤していたころ、イヤな思いをするほうがずっと多かったですが、走って電車に飛び乗ってゼイゼイと息を切らせていたら学生さんが席を譲ってくれたり、小さな子供が年配の人に席を譲っているのをみたり、といい思い出もあります。
自分さえよければいいや、となりがちな世の中、ぴろろさんのように席を譲ったり、「ありがとう」の一言でほのぼのしたり、といいお話をきくと、なんだか嬉しくなります。朝からよいスタートを切りましたね。
投稿: いけ | 2010年6月21日 (月) 21時17分
おはようございます。
私は梅雨で外出がちょっぴり億劫になっておりますが、ぞうさんはそうでもないでしょうか。
「ありがとうございます」入りのコメントをありがとうございます。最近、人から「ありがとう」と言っていただけるのが嬉しいです。
投稿: ぞうさんへ | 2010年6月22日 (火) 10時08分
いけさん、こんにちは。
通勤電車は、「バッグを手から離しても落ちないほど混んでいる」といったイメージが、まだ残っています。私は高校からラッシュアワーでの電車通勤(通学)を17年以上経験しています。主人が聞いたら、卒倒してしまいそうな長さですが、やはり大変な思いをしたこともありました。
10~20代のころは痴漢によく遭いました。朝から遭遇すると、世界中の男性を敵に回してもいいような気になり、仕事にも熱が入りませんでした。ミュージックプレイヤーや携帯電話などのマナーにも困ったことがありました。近頃は、どちらも困らなくなりました
若者が人助けをしている光景は清々しいものがありますね。駅構内で、荷物を持って階段の上まで運んであげたり、エレベーターの開くボタンを押して全員が降りるのを待ってくれたり…。
気持ちの良い「ありがとう」が言える人間でありたいと思います。
梅雨の時季、視界も悪いでしょうから、安全運転で通勤されてくださいね
投稿: いけさんへ | 2010年6月22日 (火) 11時48分
こんばんは。
あたしも、最近ちょくちょく電車で出かけることがあります。
席を譲るって、ちょっとでも躊躇するとタイミングをなくしますよね。
若い頃は、このタイミングを逃して軽く落ち込んだりもありましたが、今はそういうことも少なくなりました。
接客業をしているおかげそれとも、大人になったってことでしょうか
譲ったぴろろさんも譲られた人も優しい気持ちを持っているから、このような場面になったんですね。
心がほんわかします
投稿: すいか | 2010年6月22日 (火) 20時46分
逆もまた然りですが、
始まりがいいと、一日が動きやすく感じます。
終わりがいいと、悪いことも流れていきます。
いいできごとがあると、首や肩からなにやら暖かいものが下に降りていくのを感じます。
それは背中へ抜けて、心があたたかくなります。
最近は感じることが少ないですが、素晴らしい出来事はなんでもないところにあるんですよね。
投稿: Laylack | 2010年6月22日 (火) 23時13分
こんにちは。
温かいコメントをありがとうございます。すいかさんからのコメント、自信になります
席を譲る時、逡巡してしまうと、タイミングを逃してしまうんですよね。私はまだタイミングを逃してしまうことがあります。年齢が微妙な方には、ためらいます。譲ったことで、不快な思いをされないかな…なんて考えてしまって。
意外と優先席を必要としている方は多いなぁと感じます。年齢に関係なく、体調の悪い方もいるでしょうし、疲労困憊の方もいるでしょう。実は私、かかとの骨が変形していて、痛みがあるんです。長時間立ちっ放しだと激痛になることも。そういうことは見えませんから、譲られることはありません。だから、この朝の初老の女性の一言は、大変嬉しかったです。
こういった気持ちを覚えていることで、また誰かに声をかける勇気につながると思うんです。できれば、多くの子供たちにも、こういった経験をしてほしいなと思います。
投稿: すいかさんへ | 2010年6月23日 (水) 10時46分
こんにちは。
>始まりがいいと、一日が動きやすく感じます。終わりがいいと、悪いことも流れていきます。
本当にそうですね。私もそう思います。
最近は、できるだけ、起きた時、「今日も一日いい日になる!」と言ってからベッドを出ます。寝る時は「今日もいい日だった。ありがとう」と言って眠りに就きます。朝を迎えられたことに感謝し、一日を無事に過ごせたことに感謝する。感謝で始まり、感謝で終わるのもいいかなぁって思います。
心がほのぼのとする出来事って、日常生活の中にこそ潜んでいるものなんですよね、きっと。特別なことではなく、何気ないところで、何気ない一言や仕草で感じられるのではないかと思います。人は、人と接することで、何かを得ているのですものね。
投稿: Laylackさんへ | 2010年6月23日 (水) 11時06分
ブログ閉鎖のお知らせ
2012年6月9日をもちまして、5年20日続いたブログ「明るいウツ病生活」 を終了することになりました。
長い間リンクさせていただき、ありがとうございました。
なおブログページは22日まで開けております。管理人にメッセージなどいただけたら幸いです。
管理人 fkmamiko (^^)v
ぴろろさん、お久しぶりです。
私はまだいろいろ問題は抱えていますが、少しずつ良い方向に向かっており、将来の希望も持てるようになりました。
ぴろろさんのお幸せを願ってやみません。
投稿: fkmamiko | 2012年6月10日 (日) 17時52分
fkmamikoさんへ
お久しぶりです。お元気ですか?
コメントいただき、ありがとうございます。
ブログをほったらかしにしており、気づくのが遅れて、申し訳ありません。このコメント、気づいていただけないかもしれませんが、記載させていただきます。
ブログ、終了されるのですね。最近は皆様のブログへ立ち寄らせていただく時間が持てずにおりました。fkmamikoさんの最近の様子も全くわかりません。
人生、いろいろなことが起きます。私も突然の出来事にブログの更新ができなくなりました。文章を綴れないというか、頭の中で整理して残したい記録をうまく文章化できないというか…。でも、「自分に起きる出来事は全て必然的に起きている」というある作家さんの本を読み、勇気付けられました。だから、必要以上に自分を責める必要はないのだと慰められました。今は、100%とまではいきませんが、「そうだよね」と思うまでになりました。2年前の夏、たくさんの本を読みました。当時の私に必要だった書籍たちでした。人もそうですが、本も、タイミング良く、出会えるものなのですね。
来月、新しいパソコンを購入予定なのですが、買ったら、またブログを再開しようと考えています。実は、内緒で新しいブログを昨春に始めていたのですが、呆れるほど続きませんでした。それを更新するかどうかはわかりませんが、このブログではないブログをしたいと思っています。決まった暁には、ここでお知らせしたいと思います。
fkmamikoさんとも、機会があれば、お話したいです。この先も、ご縁がありますように…。
投稿: ぴろろ | 2012年8月22日 (水) 01時21分