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2010年4月

2010年4月30日 (金)

エッセイ大賞応募作 ~桜舞う中で~

皆様、前の記事へのコメントをありがとうございました。今回の出版の件では、皆様の貴重なご意見を伺うことができて、大変嬉しく思っております。応募したエッセイをご覧になりたいとおっしゃっていただきましたので、アップしたいと思います。

日常生活で記録として残したおきたいと思った出来事は、ほとんどブログの記事にしていますので、二年前からこのブログを訪問してくださっている方にとっては、新鮮味が薄いかもしれません。感想がございましたら、お聞かせください。

 

桜舞う中で

実家へ向かう道すがら、ふと見上げた青空に、桜の花びらが舞っていた。今年の桜も、もう終わりなのだと思ったこの日、桜の花が散るように、父の命も散ってしまった。あの日から、もうすぐ二年が経とうとしている。

胸の痛みを訴え、父が緊急入院したのは、二年前の三月中旬。体調を崩してから数年間入退院を繰り返していた父だが、「今回の入院はいつもの入院とは違うようだ」と母が言っていたのが、辛くのしかかっていた。見舞った時の病身がやけに痛々しく、嫌でも覚悟をしなければならない状況だった。

夫と一緒に父を最後に見舞ったのは、息を引き取る数時間前のこと。渡そうと思っていた新年会の写真を見せ、カキ氷を食べさせてあげたのが、父との最後の時間となった。死の恐怖を和らげるために打たれた薬の影響か、写真に写っている自分の姿を指差すのが精一杯の父は、自宅で撮影されたにもかかわらず、どこで撮影された写真なのか理解できない様子だった。

今思うと、父は自分の命の火が消え入りそうなことを悟っていたのかもしれない。別れの言葉のように、夫に「頑張って」と力強く呼びかけた言葉が耳に残っている。娘をよろしく頼むというニュアンスが含まれていた。病室を後にする私たちに向かって、点滴をしていない方の手を突き出し大きく振っていた姿が、生きている父の最後の姿となった。そして、父と交わした最後の言葉は「おやすみ」だった。

父に対して、悔いはない。精一杯の親孝行ができたとは言わないが、父に娘の幸せな姿を見せてあげられたのは良かったと思っている。晩年、闘病生活を続ける中で、最大の喜びは、一人娘である私の結婚だったようだ。夫が結婚の挨拶をしに家に来た時、頑固オヤジという表現が似合う強面の父が、人目をはばからず涙を流して喜んでくれた姿が思い出される。唯一心残りとして挙げるとすれば、孫の顔を見せてあげることができなかったことだろうか。

父が戻ることのない旅に出発した数週間後、私は悲しみを癒すために、遠く沖縄県の八重山地方にいた。昔ながらの赤瓦屋根の民家が点在する竹富島に宿をとり、島民のように優しい島風に吹かれていた。波に洗われ細かくなったサンゴが敷き詰められた白い小道を散策しては、どこからともなく流れてくる三線(さんしん)の音色に耳を傾けた。一つひとつ異なる容姿を持つ守り神シーサーと出会えば人生を語らい、珍しい南国の花々に目が留まれば歩を止め香りをかぎ、星の砂が眠る浜辺に出れば掌を砂に押し付け地上の星を探した。五感を使って、隆起したサンゴ礁から成る竹富島を味わい歩いた。

夕食後、沖縄の民宿ならではのゆんたく(おしゃべり)が、庭先で始まった。宿のご主人とその日の宿泊者全員がそろって、島酒である泡盛を酌み交わし、宿のご主人がつまびく三線に合わせ、島唄を歌った。三線の音色が、素朴な島の夜に響いていくのが、なんとも心地よかった。

そのいくつかの沖縄民謡の中に、心震える古い民謡があった。『てぃんさぐぬ花』だ。高校の修学旅行で沖縄を訪れた際、事前学習で習った民謡だったにもかかわらず、すっかり歌詞を忘れていた。ご主人が、歌詞の意味を教えてくれた。みるみるうちに視界がぼやけ、歌えなくなった。

                                                

一.てぃんさぐぬ花や

   爪先(ちみさち)に染(す)めてぃ

   親(うや)やゆし言(ぐとぅ)や

   肝(ちむ)にすみり

(訳:てぃんさぐぬ花(ホウセンカ)は、魔除けとして爪先に染めて、親の教えは心に染めなさい)

 二.夜走(ゆるは)らす船(ふに)や

   にぬふぁ星(ぶし)目当(みあ)てぃ

   我(わ)ん生(な)ちぇる親(うや)や

   我(わ)んどぅ目当(みあ)てぃ

(訳:夜走る船は北極星を見ている。同じように、親はいつでも私の生き方を見ている)

                           

 三.天ぬ群星や

   読みば読まりしが

   親ぬゆし言や

   読みやならん

(訳:天空の星は数えられるかもしれないが、親の言葉は計り知れないほど大きい)

沖縄民謡には、豊かな自然とともに人情あふれる教えも込められている。心地良い三線の音色と歌声が相まって、私の精神を揺さぶった。この民謡の歌詞が心に刻まれた。見上げれば、都会では見ることのできない星空。一生忘れられない一夜となった。

あれから、二度目の春が来ようとしている。駅前の桜樹は、今年も美しい薄桃色の衣を羽織るだろう。毎年、あの日のように青空に美しく映える桜花を愛でるたびに、父のことと竹富島での一夜のことを思い出し、心が潤うことだろう。

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2010年4月27日 (火)

出版社からの勧誘

公募ガイド関連記事が続くが、記録として残しておこうと思う。

3月下旬に応募したエッセイ。大賞は逃してしまったのだが、その次点である審査員特別賞をもらった。今月8日のこと。気球の写真に引き続き、これも惜しかったな。

採点対象の応募作品は477点(応募点数は倍近くあったらしいのだが、どこかに存在している文章に手を加え応募してきているものも多く、それを除外すると477点になるという)。書評までしてもらい、応募先であるA出版社の企画部担当者から電話までもらった。内容は、実力を把握したいので、もう一つ『わたしのエコライフ』という内容で、1600字以内でひと作品書いてほしいという執筆依頼。

アレルギー性鼻炎でだるい日々が続いていたので、全く書く気はなかった。しかし、担当者から電話で説得され(14日)、今秋発行される書籍に掲載されるかもしれないという下心もあって、何とか書いて送った(21日)。

すると、再度電話があって(26日)、「完成度が高く、本を一冊創作できる人である」という部署内で意見が一致したという理由で、ぜひ本を出版してみないかと勧誘された。この勧誘は、8日届いた結果通知にもあったのだが、その気はなかったので、放っておいたもの。しかし、こんなに何度も電話がかかってくるようでは、嫌でも考えないわけにはいかなくなった。

私自身、文章を作成するのは好きである。苦ではない。ブログが続いているのも、その理由が占める割合は大きいだろう。

ただ、自作の本を出版してみたいとチラリと考えたことはあっても、作家を目指そうと思ったことはない。今回の話は作家への道が約束されているものではないが、出版社との共同出版という形をとるので、多少の自己負担金が必要となる。自己満足で終わるには高額過ぎる金額である。

昨夜、夫に相談したら、「執筆者に費用を負担させるような出版社は止めておいた方がいい」という返答があった。「本当に才能がある人だと思うのであれば、今の今でなくても、こっちが原稿を持って行った時に、向こうから『ぜひ出版させてほしい』と言ってくれるよ。せかしたりはしない」と、彼なりの分析をしてくれた。申し込み期限が今月末までという設定は、私も気になっていた。来月になると、かかる費用が変わるので、今月中に意思表示をしてほしいということなのだ。

「ぴろろさんは1600字という少ない字数でこれだけまとめられる力があるのだから、世間に言いたいことを文章化して伝えることができる人。情報収集力に加え、将来性もある。こちらも商売なので、売れる文章が書ける人にしか声をかけていない」などと褒められ、その気になっていたが、夫の意見に納得したので、出版の話は断ることにした。

自分の名前(ペンネーム)が著者として印刷された書籍が、書店に並ぶことを夢見ている人は多いだろう。私の身近にもいる。現在は、自費出版物でも、キレイに製本された書籍として気軽に刊行できる時代である。自分が書いた書籍を書店で手に取ることは、今や、遠い夢物語ではなくなってきているのかもしれない。

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2010年4月23日 (金)

世界の旅フォトコンテスト

この冬から、雑誌『公募ガイド』に掲載されている川柳やエッセイ、詩などを作っては応募しているのは、ブログでも記事にした。私でも簡単に作れることが、数ある公募の中から応募する作品を選び出すポイントとなっている。5月号も買って来たので、今も暇があれば、パラパラめくっている。

3月に応募した、OCNブリエ募集の「世界の旅フォトコンテスト」の結果発表が21日に行われた。応募した作品は、昨年訪れたオーストラリアで撮影した写真数点。最優秀作品はハワイ旅行と豪華。優秀作品は旅行券一万円分。賞金より、入賞という事実が、頑張ったご褒美。

結果発表に気づいたのは、今朝になってから。早速ドキドキしながら、OCNブリエのホームページから結果を見てみた。

あちゃ!入選ならず。

入選を果たしている写真の数々は、さすがに「はぁ~、すご~い」と感嘆のつぶやきが漏れるほどに素晴らしい作品ばかり。私の作品が入選するはずもないと、納得した。

と、画面をスクロールしていくと、下方に小さいサイズで写真がいくつも並んでいるコーナーに行き着いた。そこに、見覚えのある写真が!はっ、応募したケアンズで乗った気球の写真が載っているではないか!キャ~!嬉しい。

入賞はしなかったが、ちょっと嬉しい出来事なので、ブログで自慢してしまった(^^)ヾ 許して~。

※よろしければ、リンクを貼りましたので、OCNブリエのホームページをご覧ください。素晴らしい海外の写真がたくさん掲載されています。行きたくなってしまうものばかりで、癒やされます。

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2010年4月21日 (水)

画像整理

撮り溜めたデジタルカメラの画像整理を行なった。かなり前の旅行の画像だ。こういうのは、「エイ、やるぞ!」と意気込みがないと、なかなかできないものである。

2008年の八重山旅行と2008年の沖縄本島+伊是名島旅行、2009年オーストラリア旅行。6日間の旅行日程でCD‐R2枚分、8日間の日程でCD-R3枚分。ちょうどいい感じ。

Cd_2 

普段撮りの画像は、(日帰り)旅行ごとと年ごとにまとめたので、近々整理したい。早くせねば…。

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2010年4月19日 (月)

アレルギー性鼻炎とガングリオン

一週間に一回のブログ更新。少ない…。これには訳があって。

今月に入ったころから、鼻水・鼻づまりの症状が現れ、集中力ややる気が湧いてこなくなってしまった。微熱のある日もあり、だるく、家事も時間がかかるように。ブログ更新どころではなかった。内科へ行ったら、花粉ではないアレルギー性鼻炎という診断。

そして、右足の痛み。右足の甲にボタンくらいの大きさの腫れ物ができ、一度は皮膚科で気にならなければ放っておいて大丈夫との診断を受けたが、あまりの痛さから足を引きずって歩くようになってしまい、昨日、ようやく整形外科へ。症状名はガングリオン。良性の腫瘤だそうで、よく現れる症状だとか。なりやすい人は何度も繰り返して現れることが多いそうで、クセになりはしないかと心配になった。

太い注射で腫れ物の中に溜まったゼリー状の水分(髄液)を抜く。麻酔をする人もいるらしいのだが、私は麻酔なしで処置。想像以上の激痛で、かなり出血もあった。処置後、心臓がバクバクし、貧血のようにサーッの血の気が引くような感覚に。子どもでもないのに、涙が膨れて困った。立ち上がることができず、その場で、数分、休ませてもらうことに。できれば、二度と出てきてもらいたくない症状だ、ガングリオン。

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2010年4月11日 (日)

単発のアルバイト

たった二日間だけだが、コールセンターの仕事(契約社員)に行って来た。内容はテレホンショッピングの受付。

「お電話、ありがとうございます。ぴろろが承ります」
「ご注文のお品は○○がお一つですね。それでは、お客様のお電話番号を、市外局番からお願いいたします」

こんな感じで、トータル20件以上の電話応対をした。初日は5時間勤務。うち3時間半は研修だったので、実質1時間半の超短時間。

二日目は6時間勤務。前日とショッピング内容は異なり、受付方法も異なるため、研修2時間あり。コールセンターの業務委託はシークレットになっているようで、直前までどの放送枠の商品を取り扱うのかの説明は一切なし。もちろん、仕事終了後もどの商品を扱ったのかの守秘義務は生じているので、ブログたりとも公表するわけにはいかない。

やってみたい職種だったので、単発と言えどチャレンジできて幸運だった。でも、知らない人(客)と電話で話をするのは、意外と疲れることも知った。対応した中には外国人もいたため名前が聞き取りにくくて困ったし、発送期日をもっと早くしてほしいと老女から何度もお願いされたケースもあった。幸いいたずら電話を取ることはなかった。近くの席の中年男性はかなり興奮した様子でいたずら電話に対応していたのを耳にした。いたずら電話の相手が話したいのは、若い女性とは限らないんだなと思った。いろいろな人がいるものだ。

二日目は人生初の夜勤ということもあり、かなり疲労困憊だった。しばらくは昼間に睡眠を取ってしまうなどの生活リズムの崩れがあり、続けられそうな仕事だとは言いがたいが、それがわかっただけでも仕事をさせてもらった価値があったと思う。

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2010年4月 5日 (月)

二ヶ領用水での花見

ここ3・4日、忙しくしていた。予定が入る時というのは、重なって入るものだ。暇な時はずっと暇なのに…。

外出が多かったので、満開の桜をあちこちで愛でる機会に恵まれた。どこへ行く時も、車窓にはふわふわの桜が流れ、見慣れた景色の春色バージョンに心が躍った。

Photo

写真は、多摩川沿いの二ヶ領用水の桜並木。用水の両脇数kmに渡り、桜樹が植えられている。夜にはライトアップされるようで、提灯の下には場所取りのシートの準備もちらほら見えた。

視覚、嗅覚、味覚、触覚と、五感を使って楽しめる桜。やはり、咲いている時期が短いゆえ、心惹かれる花の代表と言えるだろう。

Photo_2

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