三線リサイタル
この間の日曜日、夫が三線のリサイタルを開いてくれた。私があるテレビ番組を見て、「沖縄の音楽に熱いものが込み上げてきちゃった」とメールしたら、「土日に聞かせましょうかね」と返信があり…。
近所の沖縄居酒屋で、昼間三線教室が開かれていて、今夏、何度か足を運んで練習していた夫。3曲弾けるようになったとかで、その3曲を披露してくれた。
誰かが見ていると練習できないからと私が見ている前で練習することがなかったので、どのくらい弾けるのか程度がまったくわかならかったのだが、何度かつっかえる場面はあったものの、何の曲を弾いているかわかるほど、夫の三線の腕は上達していた。「最近は触ってもいなかったので、弾けなくなっちゃった…」なんて言っていたが、十分に沖縄の風を感じることができた。
私のために、私のためだけに開いてくれた三線リサイタル。1曲目から全身がゾクゾクするような感動を覚え、誰かが見ていると弾けなくなる夫の性格を知っているせいもあり、涙があふれて止まらなかった。
「弾いてみる?」と、夫が優しい眼差しを寄越した。「いいの?」
私には弾ける弦楽器はお琴だけ。中学のころ、ギターを授業で習ったが、弾けるところまではいかなかった。それから、他の弦楽器を弾く機会は、ハープ(高校の部活の他パート)をちょっと弾く以外になかった。あんなに沖縄へ行っていたのに、本物の三線を手に取ることもなかったのだ。
夫が持っている三線は本物の三線ではなく、沖縄の土産物屋で販売されている観光客用の代物。それでも、演奏できるだけの機能は備えており、チューナーもある。
調音した後、夫が三線教室で最初に習った『♪チューリップ』を恐る恐る弾いてみる。つめの代わりにピックを使用。弦をはじく感覚がよくわからず、強弱がめちゃくちゃ。左手の弦を押さえる指もめちゃくちゃ。
それにしても、三線の楽譜『工工四(クンクンシーと発音)』は慣れるまで読みづらい。三線の楽譜はドレミファソラシドではない。合乙老四上中尺工五六七となる。ドレミ…で覚えるのではなく、合乙老…で楽譜通りに覚えるのが良いと夫からアドバイス。
どれくらい練習したのか、『♪チューリップ』の他に、テンポは超がつくくらいゆっくりだが、沖縄民謡『♪安里屋ユンタ』と『♪十九の春』がなんとか弾けるまでになった。夫も「弾けるじゃん」と言って、飲み込みの良さを褒めてくれた。
久々に楽器を奏でてみたが、こんなにも楽しく、心が豊かになるような味わいは忘れていた。好きな音色だけに、リラックス効果も。こんなゆったりした音色を日夜耳にしている沖縄の人たちが、いい意味での“ていげー主義”になり、なんくるないさ(なんとかなるさ)と悩みフリーでいる訳がわかる気がした。
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コメント
おはようございます。
心豊かになる音色、私も探してみようと思います。
投稿: ぞう | 2009年12月19日 (土) 05時05分
コメント、ありがとうございます。
音楽はあまり聴く方ではありません。でも、必要なときにはそばにあったように思います。
辛い時、寂しい時、悲しい時、それぞれの気持ちを慰めてくれたのが心地よい音色の音楽でした。悲しみを癒やすには、悲しげな曲がいいのだと知ったのも、自身が聴いて音楽からでした。同調する音楽が心を癒やしてくれますね。楽しい気分の時は、明るい曲が気分を盛り上げてくれます。
素晴らしい一曲と出会いが、心を豊かにしてくれます。
投稿: ぞうさんへ | 2009年12月19日 (土) 14時07分
パッと見三味線かなとおもったら、そうでしたそうでした、三線でしたね。
沖縄の風か、なんて考えながら読ませていただきました。
投稿: Laylack | 2009年12月21日 (月) 22時14分
こんにちはっ!
久し振りに遊びに来ました~。
サンシン、私も八重山に通っていた頃、宿のオジイに教えてもらった事あります!
弦に何も印が付いてなくて、どこを押さえていいのかチンプンカンプンだった記憶がありますよ~
それでも何とかチューリップは弾けるようになったけど、もう何年も触ってないので忘れちゃいました (^^;
あの音色、いいですよね~!
沖縄懐かしいなぁ・・・。
投稿: 福 | 2009年12月22日 (火) 20時42分
Laylackさんは楽器の演奏はされませんか?音楽は洋楽がお好きでしたよね。
主人も洋楽を好んで聴いてきたようです。詳しいですね。私はほとんど聴きませんが、有名な曲は好きです。
所有している三線は本物ではないので、立派なものではありません。写真を掲載するのもはばかれたのですが、「別に気にすることはない」と思い、載せました。こんなのでも、三線の音色が奏でられるのですよ。心が癒やされるのです。音楽の持つ力は魔力であり、神秘であり、偉大です。
投稿: Laylackさんへ | 2009年12月23日 (水) 08時36分
お久しぶりです。ご結婚されたのですね。めでとうございます。お祝いも述べずに失礼しておりました。
“夫婦の幸せは自分三昧すること”という言葉に、最近出会いました。誰のためでもなく、自分のために、自分自身の心を豊かにしてあげる。それが自分三昧。普段から自分の心を満足させてあげておけば、夫婦で何か行う時も、一緒に心から楽しむことができるそうなんです。いつも相手の趣味・好みにばかり付き合わされていたのでは、そのうち不満が爆発してしまいますが、一人で自身の心を満足させてあげられる人は、相手をも満足させてあげることができる人らしいです。我が家はできているかなぁと考えさせられる一言でした。福さんも幸せをかみ締めながら、成長し合えるご夫婦を目指されてください。
竹富島で三線を借りて弾く機会があったのですが、しり込みして触れることもしなかったことがありました。引っ込み思案というわけではないのですが、音痴なので私は楽器の演奏も苦手。チャレンジ精神がないんですよね。壊れはしないか…などと余計な心配をしてしまって。今度借りられる場面に出くわしたら、率先して触らせてもらおうと思います。本物の三線、どんな感触なのかしら?
そうそう、最近、瞑想を始めたのですが、歌なしの沖縄音楽を流しながら行っています。これが一番リラックスできるとわかりました。三線の音色を聴いていると、沖縄の風景が浮かんでくるので、それがいいのだと思います。もう沖縄は“心のふるさと”になっているんだなぁと思います。そういう場所に出会えた私たちは幸せ者ですよね
投稿: 福さんへ | 2009年12月23日 (水) 08時50分
三線、旦那さんすごいですね。
ずっと恋人通しみたいでうらやましいです
投稿: ima♂ | 2009年12月26日 (土) 05時29分
こんばんは
私たちには子どもがいません。なので、どこへ行くにも二人。三人になることはありません。
ある人が「子どもがいない奥さんには、とても優しい旦那様がそばにいるように、世の中なっているのよ」と言っていました。気遣いの言葉がとても嬉しかったのを覚えています。
「パパ、ママ」ではなく、名前で呼び合っているのは、確かに恋人同士みたいです。名前で呼び合う方が、男女を意識した夫婦でいられていいんですって。ima♂さんのところはいかがですか?
投稿: ima♂さんへ | 2009年12月28日 (月) 18時48分