上野恩賜公園
秋色濃くなり、南関東も紅葉狩りが楽しめる時期を迎えた。三連休初日、かねてから予定していた上野へ散策に出かけた。
夫は小6以来の上野だという。私はよく覚えてはいないが、やはり小学生以来だ。不通になってしまった上越線の運転再開を待つ時間、母親に連れられ、西郷隆盛像を見に行ったセピア色の記憶が残っている。
幼少時の懐かしい記憶からか、まずは上野恩賜公園へ歩を進めた。この公園は明治6年、日本初の公園として開園され、その後、動物園や博物館、美術館等が建てられ、文化の香り高い一面も併せ持つ人気の公園となっている。桜の名勝としても有名で、春には1200本のも桜並木の下で、花見客が宴会を繰り広げている様子をよくテレビで見かける。そんな桜樹はほとんど葉が散り、言葉通り来春の花開く日の準備に入ったかのように見えた。
公園のシンボルである西郷隆盛像の前で、夫と二人写真に収まる。隣にいるのが、母から夫へ変わっていることに、月日の流れを感じた。
公園の中央に上野大仏と呼ばれるパゴタがある。建立当時は6mの高さの大仏だったが、大地震や火事などで4回も首が落ち、現在は顔だけが保存されているという珍しいパゴタ。ご利益があるのか、合格祈願の絵馬がたくさん収められていた。
公園内の木々はほどよく紅葉しており、散策はとても気持ちが良かった。休憩場所に選んだベンチ近くにある身長より高い鉄棒に、夫がおろむろに近寄り、逆上がりを試み始めたのには驚いた。2~3回チャレンジし、肩を落としてベンチへ帰ってきた。しかし、数回チャレンジし、何度か成功。学生時代、鍛えていただけのことはある。
三つに分かれている不忍池(しのばずのいけ)の蓮池は、名前からも連想できるように枯れたハスで一面覆われており、夏季の見ごろを想像させた。エサを追い求めてハスの合間を泳ぐカモがかわいかった。都鳥であるユリカモメの姿も多く見られた。カップルやファミリーで賑わうボート池では、様々な形のボートが浮かんでいたが、「僕は漕ぐのが下手だから」と夫がしり込みするので乗船は叶わなかった。池の周りの散策は飽きることがなかった。

私の噴水好きを知ってか、夫が大噴水へ行ってみようと誘ってくれた。夜にはライトアップされるという大噴水は、いろいろ変化を持たせながらしぶきを上げていた。マイナスイオンが放出されているからか、さわやかな爽涼感を醸し出していた。
アメヤ横丁
上野恩賜公園散策を挟んでの昼食は、アメヤ横丁で。ここは二人とも初めて訪れる場所。年末の大混雑の風景をテレビで見ることはあっても、訪れたことがなかった。
三連休だから混んでいるかと思いきや、狭い商店街、ゆっくり両脇の店舗をひやかしながら歩く余裕さえあった。スイカやパイナップル、イチゴなどを串刺しにして売っている出店、「今日が最終日だよ!」と連休初日から首を傾げるようなセリフをばらまく店員、初めから込みのはずなのに「おまけ」と相手にお買い得商品だと臭わせる商売上手の店主。確かに非日常の商店街の風景がそこにはあった。得だの損だの問わず、その雰囲気を楽しむ客が多いからこそ成り立っている部分もあるのだろう。“限定”や“おまけ”に弱い消費者の心理を上手くついた商売戦術の横行が見て取れた。
結局、アメヤ横丁では何も買わなかったものの、昼食後の休憩用のおやつを探していた時に、沖縄のわしたショップ(沖縄県物産公社)を発見し、ちんすこうやシークヮサージュースなどを購入。夫はオリオンビールとおきこラーメンを。なんか、私たちらしさが表れていると感じたひとコマだった。
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