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2008年12月15日 (月)

病院でのクリスマスコンサート

昨年から何かとお世話になっている総合病院では、毎年、クリスマスが近づくと、入口付近の広いスペースで、クリスマスコンサートを開催している。他にも、毎月、様々な趣向のコンサートも開いているそうだ。もっぱら、入院患者とその家族のための催し物のようだが、通院患者、病院関係者も鑑賞することができる。

たまたま診察日(12/11)とコンサートの日が重なったことと、たまたま会計が終わった時刻がコンサート開始直前だったこともあり、急遽、コンサートを鑑賞することにした。会計待ちしている時に、ボランティアによる手作りプログラムもいただいた。色画用紙にスタンプが押され、カラフルに色づけされた立派なプログラム一つにも、ボランティアの方々の真心がこもっている。

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第一部は、ピアノとソプラノ歌手によるクリスマスソングのハーモニー。音楽界の巨匠たちの『♪Ave Maria』三曲から始まった。ソプラノ歌手の澄んだ歌声がとても美しく、院内に響いた。

Ave Maria→聖母マリア→母親と連想し、涙がこぼれそうになった。母は、今年も忙しい師走を送っているのだろうか。年老いても、なお忙しく動き回っている母親の体を案じた。そのことに加え、生で聞く歌ならではの、ヒシヒシと感じる感動もあったのだろう。前から三列目、しかもほぼ中央に座っていたので、涙をこらえるのに苦労した。

第二部は、ピアノとサックス奏者によるコラボレーション。『♪涙そうそう』や『♪川の流れのように』などの名曲が、ジャズ風に変身。会場にいた100人弱ほどの観客たちは、みなシーンと静まり返って聞き惚れていた。そばに座っていた5~6歳くらいの男の子が、体をサックス奏者の方へ向け、熱心に聞いているのには感心した。

このサックス奏者は、11年前のクリスマスイブにこの病院に担ぎ込まれて半年間の入院生活を送った経験があるという話もしてくれた。膀胱ガンだそうだ。優秀な医療スタッフのおかげで、11年経った今でも元気でいられることに感謝し、こうして毎年クリスマスコンサートを開いているという。

こういう善意が、観客の中の患者にどれほどの勇気を与えることか。彼にはそういう役割が与えられているゆえに、膀胱ガンを患ったのかもしれない。一度、死を身近に感じた人は強い。目的を持って、地に足をつけて生きている感じがする。彼の素晴らしい活動は、今後も多くの人々に勇気と感動を与え続けていくことだろう。

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コメント

私がかよっていた総合病院でも、医療従事者の方のコンサートがありました。急いで帰らなければいけない日だったので、残念ながら聴けませんでした。この病院は普段から院内に小さな音で音楽を流していました。とても心がなごんで、私は良いと思いましたが、うるさいという苦情もあったそうで。これも好みの問題でしょうか。

投稿: fkmamiko | 2008年12月15日 (月) 10時18分

私の病院でも小さなコンサートをやってます。
ちょうど2年前のクリスマスに入院していて
手作りの励ましのカードが添えられた
小さなケーキが出た事を思い出しました。

ぴろろさんがお母様のことを思われて
グッときた気持ち分かるような気がします。

お母様がいつまでもいつまでも
お元気でいられますように。

>一度、死を身近に感じた人は強い。
私もそうありたいな。(^^)

投稿: ケセラセラ | 2008年12月15日 (月) 11時12分

パッとみですよ、パッと見。
病院でのクリスマスコント ってみえまして、すごいもんやるだなぁ最近はなんて思っていました。

冗談はさておき、素晴らしいですね。
ボランティアの方々もさることながら、気持ちですよ、気持ちが素晴らしい。
そのあとの過ごし方が一変するんですよね。

投稿: Laylack | 2008年12月16日 (火) 00時32分

お返事が遅くなり、すみません。外出&仕事でパソコンを開く時間がありませんでした。私は昨日が仕事納めでしたので、これから一ヶ月ほど、ノンビリ毎日となります。
個人経営の歯科や内科、整形外科などでは、音楽が流れていることが多いですね。有線なのでしょう。ジャンルは院長先生の好みなのか、ムード音楽のところもあればJ-POPのところもあり、様々です。少しでも和やかな雰囲気作りを…と考えた時、音楽が真っ先に思いつきます。患者側としても、緊張を解してくれる音楽は、嬉しいものです。うるさく感じる方もいらっしゃるのですね。人それぞれですね。


投稿: fkmamikoさんへ | 2008年12月17日 (水) 08時34分

お返事が遅くなって、すみません。
母への暖かい言葉をありがとうございます。
クリスマスカードにケーキ、病院からの嬉しい励ましに、心強さを感じたことでしょう。こういうちょっとした粋な演出が、入院患者には嬉しいものです。私は入院中、記事に登場するボランティアさんたちに肩揉みをしていただいたり、移動図書で本を借りたりしました。いろいろな人が、私の病気を治すための手伝いをしてくれているのだということに感謝しました。損得抜きで、こういう行為ができる人たちって素晴らしいなと思いました。
ケセラセラさん、私たちは強く生まれ変わったのです。非情に困難な壁を乗り越えた者には、強者という栄誉が与えられるのです。失ったものも大きかったけれど、得たものも大きいと信じます。

投稿: ケセラセラさんへ | 2008年12月17日 (水) 08時55分

毎日、お疲れモードのなのですね、Laylackさんは。師走ですからね。仕事納めに向け、ピッチが上がっているのでしょう。
クリスマスコントもいいですね。患者(病気の人)にとって、笑うことはいいことなのだそうですよ。笑いが体へもたらす影響は大きいんだとか。笑いによる何とかという分泌物が、良い方向へと導いてくれるんだったかな。かなりあやふやですね。すみません
入院患者にとって、病院の外は憧れの世界。早く外へ出たいと思っていることでしょう。そんな窮屈な入院生活に心温まるクリスマスコンサート。気持ちが晴れた人が多かったと想像します。私も予定になかったコンサートに感涙してしまいました。ただのコンサートではなく、病気を克服してステージに立ったサックス奏者の思い、あまりの美しさに呼吸を忘れるようなソプラノ歌手の勇気、安らかなピアノの音色に込められた励ましは、観客全員の胸に熱い血潮となって届いたことでしょう。
とっても清らかな空気が、ロビー一体に広がっていました。素晴らしい企画だと思いました。

投稿: Laylackさんへ | 2008年12月17日 (水) 09時11分

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