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2008年5月 9日 (金)

八重山旅行三日目 ~のどかな島でゆんるり時間~

浄化された朝

竹富島の朝。目が覚めたら、散歩に出かけるに限る。早起きした者だけが目にすることができる光景が待っているから。

サンゴが敷き詰められた道は、すでにホウキの跡がつけられていた。島の人々が、毎朝欠かさずに、Photo_14 ホウキで家の前の道を掃き清めるのだ。誰の足跡もついていない白い小道は、邪気が全く見られず、清らかだ。この島に漂う、朝の清澄な空気とともに、島人(しまんちゅ)の無邪気で厳かな精神を、肌で感じ取ることができる、早朝ならではの光景だ。

竹富島には、サーターアンタギー(形は球の沖縄風ドーナツ)がおいしいと評判の店がある。数多くは作れないので、あまりガイドブックには載せないようにと店主は取材陣に依頼しているらしいが、評判は勝手に一人歩きする。

昨日は売り切れで買えなかった。店主の「明日(4/23)の10時半ごろに来てみなさい」という言葉を胸に、自転車で、売店へと向かう。あまりの居心地の良さで、昨日長時間休憩していた売店だ。

すでに売店の前には人だかりがしていた。昨日のことが頭をよぎり、急いで店内へ飛び込んだ。

あった!サーターアンタギー。最後から2つ目をゲット。支払いが済まないうちに、最後の一つも売れてしまった。すごい人気。店主は私の顔を覚えていてくれており、さんぴん茶(ジャスミン茶)をしーぶん(おまけ)してくれた。

早速、出来立てのサーターアンタギーを、お店の前で一つずついただく。甘すぎない懐かしい味が、口いっぱいに広がる。今日もいい一日になりそうな予感が満ちてきた。

 

沖縄の原風景

天気も良Photo_15さそうなので、民宿で借りた自転車で、ちょっと遠くの集落まで走ってみることにした。水牛車が通る集落はさすがに人が多いが、少し外れるだけで、静かな竹富島らしい素敵な風景が広がる場所に出た。

沖縄の原風景がそこにはあった。ゆっくり深呼吸し、竹富島にいる幸せをかみ締めた。

映画やテレビの撮影が行われる理由がわかる。私たちもポーズをきめて、Photo_16 写真を撮った。カメラ目線ではなく、週刊誌の表紙くらいなら使ってもらえそうな自然なポーズで。誰も見ていないからできること。こういった時は、三脚が非常に役に立つ。

沖縄を訪れる前は、砂浜に落ちている砂全部が星の砂だと勘違いしていた、高校生のころ。無知だった。西表島には星砂の浜という名前の浜もある。ここ竹富島でも、Photo_18 カイジ浜が“星砂の浜”と呼ばれている。しかし、どちらの浜も、全ての砂が星砂であるわけではなく、てのひらを砂に押し付けてくっついた砂の中から星型のものを探すといった程度。夫が探してくれたが、2~3個しかみつからなかった。昔はもっとあったという。星砂は有孔虫という生物の死骸なので、自然破壊による個体数の減少のせいかもしれない。

足元で、巻貝がちょこちょこ動いた。それがヤドカリであることに気づくのに、時間はかからなかった。

Photo_17カイジ浜では、ちょっと歩いただけでも、ヤドカリを見つけることができる。一つ、つまみあげてみる。頭を貝の中に隠していたヤドカリも、しばらくすると私のてのひらで、ワサワサと動き始める。ちょっと手を動かすと、危険だと感じるのか、貝の中に引っ込む。それの繰り返し。かわいくて、いつまでも戯れていたかったが、ヤドカリのストレスになるといけないので、元の場所に返す。ヤドカリの数が減らないことを祈りながら。

夫はゴーヤーチャンプルー、私はソーキそばの昼食。そばが売り切れで、到着まで待たせたお詫びにということで、アイスキャンデーのサービスがあった。今日はやけに、しーぶんがある日だ。

のどかな島での贅沢な過ごし方。その一つがお昼寝。夫が昼寝をすると言うので、その間、私は母へ出す絵ハガキを書いていた。旅先ですぐに絵ハガキが手に入るかわからなかったので、以前、沖縄で購入した絵ハガキ集の中から、今回訪れる各島の絵ハガキをチョイスして持参していた。切手はもちろん、沖縄のふるさと切手。

竹富島からは、ブーゲンビリアと青空のコントラストが南国らしい、赤瓦屋根にシーサーがちょこんと乗った一枚を選んでおいた。切手は同じ情景にゴーヤーが実っているデザインのもの。母にも、竹富島の風が届くようにと願いながら投函。

 

竹富島の美観地区

真っ白な砂と透き通るような水が美しい遠浅のコンドイビーチへの道は、舗装されていない部分もあり、自転車の運転が危なっかしい。心なしか、ふくらはぎがパンパン?

強風のため、コンドイビーチの潮の流れはとても速く、明日乗船する波照間島行きの高速船の運行状況が心配になった。竹富島上空も、波照間島方面も、今は厚い雲で覆われている。不安は募るばかり。ひと雨もふた雨も来そうな気配。 Photo_20

竹富島で一番高い場所と言えば、なごみの塔。人一人がやっとよじ登れるだけの幅の階段を上り、塔の上から集落を見渡す。これぞ、絶景。

Photo_12ここから眺望できる島の風景は、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。島の人々は、竹富島憲章を定め、島の美しさの維持に尽力している。観光に訪れる我々も、その風紀を乱してはならない。いつまでも、昔ながらのこの良き景観を守り続けてもらいたいと心底思う。

今日は南の島にいるとは思えないほど、気温が低い。今夜のゆんたくは中庭ではなく、食事処で行われることになった。

私たち同様、昨日からのはら荘に宿泊している方の中に、ピアニストの男性がいる。今夜は、彼が持参している電子ピアノで、その腕前を披露してくれた。宿のご主人の三線とのコラボレーションが見事だった。ちょっとしたリサイタルだ。和と洋の楽器の音色の組み合わせ、意外と合うものだと知った。

 

魔物が潜む夜

ゆんたく後、夜の竹富島を散歩した。昨夜は私が「見せたいものがある」と言って、夫を引っ張り出した。今夜はどちらからともなく、宿の外へ。

竹富島の夜。オレンジ色のか細い照明が、サンゴの小道を照らす。夫に見せたかったものとは、この怪しげな島の夜の雰囲気。前回訪れた時は、一人で歩き、心細い思いをした。今回は隣に頼もしい夫がいる。魔物が現れても平気。怪しげとは言っても、神秘的な美しさも兼ね備えているから不思議なのだ。

Photo_13当たり前だが、夜は、夜行性の生き物が動き回る。妖気漂うような灯の下で、奇妙な動きを見せる鳥肌が立つような得たいの知れない生物。動きの速いもの、遅いもの、様々。三脚を立てて、写真を撮っている人に出くわすだけで、脈が速くなる。道の突き当たりの塀に設置されている魔除けの“石敢當(いしがんとう)”の文字が、急に現実味を帯びて来るから、我ながら、勝手なものだと思う。

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コメント

随分色々な経験をなさいましたね、貴女がおっしゃるようにツアーでは、とても出合えないような事ばかりで羨ましいです。朝撒かれた砂が掃き清められているなんて知りませんでした。お花の色も綺麗だし海岸も、ヤドカリと遊んだり~ おまけにリサイタルまで聴く事が出来たなんて幸運でしたね、
横浜駅の地下街に沖縄の物産店があるので私もサーターアンタギー買ってきてたべようかな~~ 貴女の食したものより全々違うかも知りませんが、食べたくなりました。

投稿: ななみ | 2008年5月 9日 (金) 19時26分

なかなか気力がなくてコメントを書けませんでしたが、毎日旅行記を読ませていただいてます。
私は竹富で昼間の時間しか過ごしていなかったので、「魔物が潜む夜」 が意外でした。竹富の夜の顔があったんですね。

投稿: fkmamiko | 2008年5月 9日 (金) 22時19分

ななみさん、こんばんは。いつも、コメントをありがとうございます。
のんびりする予定が、小さな島でも、ついあちこち動き回ってしまいます。もっと、ポケーッとするつもりでしたが…。一つに島に飽きるほど滞在しないとダメですね。
早朝から深夜まで、竹富島は様々な表情を見せてくれます。海や空の色は天候に左右されますが、島の景観はいつ訪れても美しいです。今度はぜひ宿泊を兼ねて訪ねられてみてください。ツアーじゃなくても、平気な島ですよ。ゆんたくもありますし…ね
ゆんたく時は沖縄のお酒、泡盛が振舞われます。ロックの他に、水割りやジュースで割ったりできます。至れり尽くせりです。おじぃの三線、心地良く響きます。忘れられない夜が竹富島にはあります。
物産展、いいですねぇ。北海道はよく見かけます。沖縄物産店を見つけるたび、いつも飛び込んでいます。

投稿: ななみさんへ | 2008年5月 9日 (金) 22時29分

サンゴが敷き詰められていたのですか!
それはまったく知りませんでした。
あの白い色はそういう部分もあるのですね。
沖縄は今は日本ですが、元は別の国。文化も言葉もかなり違いますよね。
写真に映し出されている風景は、やはりどれもこれも独特です。
塔からの景色は、思い描いているOKINAAWAですね。
橙一色の夜の世界も、はじめてみました。
記事を見る度に、僕の中で作られてきた勝手なイメージが、いい具合に修正されていくので、驚きの連続です。
うーん、読ませてもらえておもしろいです!ぴろろさん。

投稿: Laylack | 2008年5月 9日 (金) 22時31分

fkmamikoさん、こんばんは。いつも、ブログを読んでいただき、ありがとうございます。そしてコメントも。無理なさらないでくださいね。
夜の竹富島は素敵ですよ~。オレンジの光だけになり、とても幻想的。闇の奥に何かが潜んでいます。おそらく…、きっと…、絶対! そんなドキドキ感があります。
朝もピリッとした空気が漂っているのを肌で感じることができます。

投稿: fkmamikoさんへ | 2008年5月 9日 (金) 22時56分

いいですね、竹富島の夜!
初めて行った時は、土砂降りの中を傘もささずにズブ濡れになりながら自転車で島中を廻りました。罰ゲームみたいだったけど集落の美しさに感動したものです。
二度目に祖母や両親を連れて訪れた時も、やっぱりこの島の空気、好きだなぁって思いました。次回の八重山行きの際には、絶対に竹富島に泊まろうって決めてます。
八重山の旅で知り合った人達から、竹富島の桟橋に沈む夕日や、早朝に掃き清められた道の感想を聞いていたので。
でも、怪しげな夜の雰囲気っていうのは初耳!写真も雰囲気良く出てると思います。
何よりもその様子が出ているのは、「石敢當の文字が急に現実味を帯びて来る」の一文ですね。「上手い!」って声が出てしまいました。
すんごく良く伝わってきます。

投稿: banana chips | 2008年5月10日 (土) 00時16分

Laylackさん、こんばんは。
サンゴは死ぬと白くなります。そして波打ち際に打ち上げられる。風化していく過程で、細かく砕かれ、それが集落の道に撒かれているのでしょう。水溜まりが白いのには驚きました。毎朝、道が掃き清められるのも、初めて訪れた時に驚いたことを今でもよく覚えています。
琉球→日本→アメリカ→日本。沖縄の歴史的背景は、少しの時間では語りつくせません。翻弄され続けた沖縄の人々の思い、本土に住む私たちにはわからないことばかりでしょう。独特の文化(言語、音楽、祭り、慣習など)は、受け継がれていってほしいものです。
オレンジ色の照明の世界はアメリカ基地内もそうですね。島と関係があるのか、ないのか…。ああいう家屋ばかりの集落は、懐古的な昼と神秘的な夜とで、表情がまるで違います。一見の価値ある町並みです。

投稿: Laylackさんへ | 2008年5月10日 (土) 21時46分

banana chipsさん、こんばんは。
八重山の各島、島ごとに漂う空気が異なりますよねぇ。うんうん。竹富島に流れる優しい空気、私も好きです。
この島は絶対宿泊することをおススメします。ゆんたくが嫌いでなければ、宿は島の人が経営する民宿がイチオシ。最初に宿泊した民宿にはゆんたくはありませんでしたが、宿泊者同士仲良くなり、一緒にゆんたくしに飲みに行ったり、夜の西桟橋で満天の星空観察をしたりしました。島の夜は長いですから、のんびりできます。
本来の島の姿は、石垣行きの高速船が出た後です。忙しい観光客がいなくなった後の竹富島は、島本来の良さに満ち溢れます。
初めて訪れた時、「地球の夜って、本当は真っ暗なんだ」と思いました。そのこと、竹富島に来て気づいたんですよ。仕事が忙しくて、周りが見えなくなっていた時でしたから、私にとってはものすごい発見でした。
今度はぜひ、早朝の掃き清められたサンゴの白い小道、西桟橋からの夕日とともに、怪しげな夜の雰囲気も楽しんでください。

投稿: banana chipsさんへ | 2008年5月10日 (土) 22時21分

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